日刊工業新聞 2004年10月29日
東北大発VB設立 
能動カテーテル3年後事業化目指す 
MEMS活用し医療機器

【仙台】東北大学先進医工学研究棲構(TUBERO)の芳賀洋一助教授らは、微小電気機械システム(MEMS)技術を活用した医療機器などの開発・製造販売を行う大学発ベンチャー(VB)を立ち上げた。血管内の治療に使う能動カテーテルなど、体内に入れる際に負担の少ない検査・治療機器の事業化を目指す。現在、仙台地域では、MEMSを中核とした新産業創出の機運が高まりつつあり、医療関連分野におけるVB設立は注目を集めそうだ。
新会社はメムザス(仙台市青葉区、022-265-7530、竜新栄社長)。科学技術振興機構01年度プレベンチャー事業「能動チューブマイクロンステム」に基づき、研究が終了したのを受けて設立した。資本金は1370万円。同事業の中心メンバーとなった芳賀助教授をはじめ、MEMS研究の第一人者の江刺正喜東北大学教授ら7人が出資し、両氏を含め東北大教官4人が取締役に就いた。当面は、小型のアクチュエーターを搭載した能動カテーテルや毛髪程度の極細な光ファイバーの先端に微小なセンサーを搭載した医療用圧力センサー、腸へいそく(イレウス)治療に使う能動屈曲イレウスチューブなどの開発を進める。すでに基本技術は確立しており、医工連携で3年後をめどに製品化を目指す。試作評価などの研究開発拠点は、東北大青葉山キャンパス内に置く。工学系と医学系にまたがる学内の施設を利用できる点が「大きな強み」(芳賀助教授)となる。量産品の製造は外部に委託する方針。今後は医療機器分野以外への応用も探り「3年後の黒字」(同)を見込んでいる。MEMSは、半導体集積回路の製造技術をベースに、電子や機械、光、材料など多様な技術を融合した微細加工技術で、用途は情報・通信、医学・バイオなど幅広い。

⇒pdfファイルの日刊工業新聞記事

この記事は日刊工業新聞の許可を得て転載しており,著作権は日刊工業新聞にあります。無断転載・改変は行わないで下い。